「本屋、ひらく」

幸運にも僕が現在住み、店をかまえる海南市には僕が子どものころからあった本屋が健在で、国道沿いにはTSUTAYA系のチェーンの本屋もあります。
ただ現在ある町の本屋も、今経営している店主さんが引退するときには店を閉じてしまいそうな感じもします。
本や本屋の取り巻きは出版不況や書店数の減少、有名書店の閉店のニュースなどネガティブな話題が事欠きません。好きだった、ずっとあると思っていた本屋の閉店の知らせを聞くたび、いつも大切なものを失った寂しく、悲しい気持ちを味わいます。
だから自分が本屋を始めたとき、自分なりに決めた覚悟の一つに「自分の本屋だけは絶対に閉店させまい」という思いがありました。
本屋未経験で、地方の小さい町で、しかも路地の奥まった古い工場の中で、そもそも儲かりようもなさそうな自分の店を経営的に立ちいかなくなって閉店しないようにするにはどうすれば良いかを考えました。
そして考えた結果、とんちのようですが、儲けようとしなければいい、他に稼ぐ手段があって余裕資金ですれば、そもそも潰れようがないと思って始めました(もちろん本屋だけで生活できるようになろうと日々もがいてはいます!)。その目論見も紆余曲折、良いときもあれば悪いときもあって、3年ほど経った今も試行錯誤の連続です。
そして本書「本屋、ひらく」(本の雑誌社)では、自分のような新たに「本屋をひらいた」日本全国の書店主さんの本屋への想いと商いの日々が綴られています。
自分も細々ですが本屋を続け十分報われていると感じていますが、この本を読み、あらためて本屋ってなんて良い仕事なんだろうと思いました。そしてこれからも細く長く続けていこう、もっともっと頑張っていこうと思わせてくれる、自分にとって希望のような一冊でした。

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