いよいよ今週から 

七夕の本日から旧田島うるし工場では、一緒にこの旧田島うるし工場を運営する仲間の中田耕平氏の展覧会がいよいよ始まった。

レンガ壁一面に「Never stay the same 〜うつろいゆく世界〜」をテーマとした中田氏の新作絵画が並ぶ。

キーワードは鴨長明の「方丈記」だそうだ。

ほ、ほ、ほ、ほ、方丈記〜!!

といった感じではあるが一つ一つじっくりと作品を眺めながら、直接作品の奥にある話を聞いてみたい。

そういえば最近、百万年書房より「フツーに方丈記」大原篇理・著を仕入れた。展覧会の関連本として、入口に置いてみようかな。売れるかな。一番買ってくれそうなのは中田耕平さんだったりして。

またそういえば、アートの展覧会に関連して、最近、川内有緒の「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」(集英社インターナショナル)を読んだ。ずっと前から気になっていた一冊だったけれど、なぜか読んでいなかった一冊。

川内有緒は好きで、全部の作品を読んでいる。とりわけ「パリでメシを食う」(幻冬舎)、「晴れたら空に骨まいて」(ポプラ社、講談社文庫)は僕のお気に入りの作品。川内有緒の真骨頂である生きる切なさと希望の両方が特に強く内包されている作品である。

それなのに、なぜ「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」を手に取るまでにこれだけ時間を要したかは分からない。きっと、「目の見えない」と「アートを見に行く」がうまくつながらなかったし、普段、目の見えない方と接する機会がなく、タイトルから読もう!と思うモチベーションに強くつながらなかったように思う。

けれど読んでみた感想は、なぜもっと早くに読まなかったのかという自問とやっぱり川内有緒の作品に外れなし、そして「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」の意義がよく理解できたということ。

細かい内容の話はぜひ実際に手にとっていただきたいが、目の見えない人とアートを見に行くことで、細部にいたるディテールが浮彫りとなり、より客観視できるということ。そしてそれは自分の目とアート作品との間に「目の見えない白鳥さん」という存在を挟むことによって初めて成立しうるということ。だからその行為が意義深いし、面白いし、ハマるのだ。

そんなこんなで、中田耕平氏の展覧会が今日から始まった。

もちろん「目の見えない白鳥さん」はいないが、より具体的に作品を自分のなかに咀嚼していきたい。

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