特に若い方を想定して、普段本は読まないし、本の面白さもよく分からない。ただせっかく本屋に来たし、何か一冊買っていくとしたらどの本がいいですか?
そんなとき、この矢萩多聞の「たもんのインドだもん」は特にオススメしたい一冊。
この本はミシマ社のコーヒーと一冊というシリーズにラインナップされていて、シリーズのコンセプトは「カフェタイムに一冊を!」。
一冊の分厚さも内容も本の価格もすべてが読みやすく、一冊を読み切る!ということに主眼が置かれていて、一冊を読み切る充足感を味わい、本の虫になってほしいという願いが込められています。
そしてその中で、本界隈の方なら知らない人のいない装丁家•矢萩多聞(やはぎたもん)とインドとの交流を描いた一冊「たもんのインドだもん」は中学1年生で学校に行くのをやめ、ペンによる細密画を描きはじめた多聞さんが、15歳からのときからお母さん共々、南インドと日本を半年ごとに往復し、やがて装丁家へと進んでいくという話。
装丁家への土台を築くことになったインドでの生活がまさに異国で、カルチャーギャップ激しく、多聞少年の未来に大いに影響を与えたことがこの作品のハイライトでもある。
たまたま不登校の子がインドで暮らせたという幸運がもちろんあるけれど、とりあえず学校に行かないでも人生を謳歌している人はこの世界に山ほどいるということを知ること。そして本を一冊読むことによって自分の目から見える世界を少し広げること。
安価で読みやすい本だけれど、本の魅力が濃縮された一冊です。